消費税について考える



215日に菅直人財務相が消費税を含む税制の抜本改革論議を3月にも始める方針を明らかにした。所得税や法人税はもちろん、環境税についても政府税制調査会で議論するという。 消費税論議の開始は「完全に無駄を無くした段階」で、2011年度以降としていたのを大幅に前倒しした格好だ。 税収増が望めない中、増大する社会保障費一つを考えても税制改革は不可欠であり、議論することは当然だろう。

鳩山由紀夫首相も議論は結構とする一方で、公約通り、この4年間は消費税率を引き上げないと強調する。 果たして本当にそうなのか。引き上げなくても財源は確保できるのか。菅財務相の発言を聞く限り、肝心なところがさっぱり分からない。 増税につながることもあり得る問題だけに、議論を始めるにあたって国民にもっと丁寧に説明するべきだと思う。

鳩山政権は政権公約で、子ども手当など思い切った施策を掲げたものの、消費税に手を付けないで財源をどう確保するかが悩みの種だった。 野党から「財源を示さないのは無責任」と攻撃されながらも、無駄をなくし、予算を組み替えることで社会保障費や公約に掲げた政策実現のための財源を十分捻出(ねんしゅつ)できる、としてきた。 ところが、税収の落ち込みもあって10年度予算案の編成は財源確保に四苦八苦し、11年度はさらに厳しくなるのが必至の状況だ。 消費税論議の前倒しは、こうした現実を前に無駄削減と組み替えだけでは必要な財源が得られないことを認めたように見えなくもない。 それは消費税増税を封印する前提が崩れたことを意味しないか。まずは、この点についての説明が要る。

前倒しの理由として、先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議に出席した菅氏が、国際社会の焦点は金融危機対策から財政健全化に移っていることを痛感したから、との見方がある。 確かに足元をみれば、10年度末の国債発行残高は973兆円に達する見通しで、先進国の中で最悪の状態だ。

税制は年金を含む社会保障制度をはじめ、負担と公共サービスのあり方など国のありようとも深くかかわる。 目先の利害にとらわれず、与野党でじっくり議論すべきテーマだ。消費税増税ありき、であってはならないことは言うまでもない。